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02号 >
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タイトル: | 身内の死を経験した看護師の「死後の処置」に対する思いの変化 (研究ノート) |
その他のタイトル: | A Change of a Thought for "Care after Death" of the Nurses who Experienced Death of a Relative (Notes) |
著者: | 比嘉, 肖江 比嘉, 勇人 |
キーワード: | 死後の処置 一人称の死 二人称の死 三人称の死 |
発行日: | 2005/03/31 |
出版者: | 滋賀県立大学人間看護学部 |
抄録: | 背景 日本の医療現場では、患者が亡くなると主に看護師によって「死後の処置」が行われる。そこでは、看護師自身の死(一人称の死=主体の死)について述べられることは少なく、患者との距離を保った客観的な立場から死(三人称の死=客体の死)と接していることが多い。しかし、流動的な感情交流が看護師と患者に起こると互いに親近感がわき起こり、ある程度の関係性が構築されて患者と死別した場合には看護師の内面に動揺が引き起こされるであろう。この感情の揺れは、「二人称の死=間主体的な死」が看護師に体験された事態であると思われる。目的 看護師と患者関係における「二人称の死(身内的な患者の死に対する感情体験)」の契機を探る。方法 S県にある「200床以上の96病院」に勤務する看護師を対象とし質問紙調査を実施する。調査用紙の自由記述部分「死後の処置に伴う独特な慣習あるいは死後の処置にまつわるエピソード」に注目し、記述内容の仮説生成的な分析を行う。結果 回収数は3267名(回収率:92.7%)、有効回答数は3080名(有効回答率:94.3%)であった。その3080名のうち自由記述に回答した554名から「身内の死を経験した看護師」という見出しがつけられる48名が抽出され、<最終的な死後の処置の場面>により「病院:16名」「自宅:31名」「病院と自宅:1名」に分類された。考察 代表事例として「病院:16名」の二事例と「病院と自宅:1名」の一事例を選出し考察した。三事例とも、身内の死とその死に立ち会って死後の処置を経験した思いを肯定的に捉え、看護師としての自分のケアに生かしている背景が読み取れる。身内の死を経験したことで、自分のケアを見直すきっかけになっているが、同時に死後の処置時の患者身内への配慮の必要性についても示唆を与えている。従来より、死後の処置(湯灌あるいは儀礼的施し)を行うことで、遺族は死者である故人の生物学的な死を確認し、共同体内部は死者の社会的な死を確認したであろう。要するに、「死後の処置」は遺族や共同体内部にとって心的変換装置であり、この場に参与することで喪の作業が発動し「こころの持ち替えの契機」が起こる。看護師は身内の死への「死後の処置」を体験することで、患者の死を二人称の死として知覚する感受性が高まると考えられる。 |
NII JaLC DOI: | info:doi/10.24795/nk002_089-092 |
URI: | http://usprepo.office.usp.ac.jp/dspace/handle/11355/32 |
出現コレクション: | 02号
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