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タイトル: 産業労働者における身体活動量および体力水準が動脈硬化性疾患危険因子に及ぼす影響とその予防方策
その他のタイトル: Effect of daily physical activity and fitness level on the risk factors of arteriosclerosis and the proposal of measure for the prevention among Japanese workers
著者: 坂手, 誠治
発行日: 2009/03/19
抄録: 近年、産業構造や生活様式の変化により産業労働者を取り巻く環境は大きく変化した。産業労働者の健康状態を示唆するひとつの指標として、職域定期健康診断の生活習慣病に関する有所見率は上昇を続けている。これら疾病の予防には生活習慣の改善が重要であり、身体活動量の増加や有酸素能力の向上が有効とされているが、先行研究より以下の検討課題があげられた。 ・日本人産業労働者を対象とした研究の必要性 ・作業形態別にみた通勤方法、運動習慣の違いが動脈硬化性疾患危険因子に及ぼす影響 ・全身持久力以外の体力因子と動脈硬化性疾患危険因子の関連性 ・身体活動量と動脈硬化性疾患危険因子の関連性に体力水準が及ぼす影響 本研究では、これら課題の解明から、産業労働者における身体活動量および体力が動脈硬化性疾患危険因子に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。さらに、運動の習慣化への具体的方策について検討した。 1.産業労働者の体力の現状把握 1990年と2000年に各約70事業所で実施した20から59歳までの約1万件の体力測定値について、10歳ごとの平均値を比較した。若年層では筋力、敏捷性、柔軟性および平衡性が、また20から50歳代の全ての年齢階層で全身持久力が低下していることが明らかとなり、その程度は職域の健康管理上、無視できない問題であることを指摘した。 2.産業労働者を対象とした身体活動量評価のための質問票の開発 これまで疫学調査のための身体活動量調査票は報告されているが、現時点で日本人労働者に対応した標準的な方法は確立されていない。産業労働者の平均的な平日1日エネルギー消費量を把握するための新たな自記式質問票を作成し、事務職、医療職および営業職などに就く者(計52名)を対象に妥当性を検証した。質問票は、睡眠、通勤、仕事、家事、運動、趣味活動等の各活動に要した時間をそれぞれ分単位で記入し、エネルギー代謝率(RMR)から各活動のエネルギー消費量を求め、1日のエネルギー消費量を算出した。本質問票の結 果を加速度計および24時間行動記録による結果と比較し、両方法間と高い相関関係が認められた。これより本質問票は、多数の産業労働者の身体活動量把握のための疫学調査に適応が可能と判断した。 3.身体活動量、体力と動脈硬化性疾患危険因子との関連性の検討 ・作業形態別にみた通勤歩行、運動習慣の違いが動脈硬化性疾患危険因子に及ぼす影響について、職域定期健康診断時の生活習慣問診結果(男性323,605名)から検討した。座位作業者では、通勤時の歩行時間の延長や運動実施頻度の増加は、動脈硬化性疾患危険因子の予防に有効であるが、仕事による活動量が多い歩行作業者では、通勤歩行時間の延長による影響は小さく、運動実施頻度との関連性が強いことが明らかとなった。 ・体力因子5項目と動脈硬化性疾患危険因子との関連性について、4事業所で実施した体力測定受診者(男性353名)を対象に検討した。メタボリックシンドロームの出現の有無に対して、全身持久力(最大酸素摂取量)が最も強く関与していることが明らかとなった。 ・身体活動量と動脈硬化性疾患危険因子の関連性に体力水準が及ぼす影響について、4事業所で実施した体力測定受診者(男性353名)を対象に検討した。1日のエネルギー消費量、または労働によるエネルギー消費量の高い群では、メタボリックシンドロームの有無に関して、全身持久力(最大酸素摂取量)の高低が影響していることが明らかとなった。 4.運動の習慣化に向けた具体的方策の検討 運動の習慣化のための具体的方策について、滋賀県H市で実施した動脈硬化性疾患危険因子予防のための介入教育(男女55名)の結果から検討した。介入前後で肥満度、腹囲の改善が認められた。食事摂取状況に変化が認められなかった点より、継続的な運動による効果と考えた。運動の習慣化に対して、日々の歩数計による活動量の把握とその記録は実用性が高く、習慣化への意欲を向上させる方法であることが明らかとなった。さらに個別面談を適切に組み合わせることで、その効果は高まることを示した。 要約 本研究では、産業労働者における身体活動量および体力と動脈硬化性疾患危険因子の関連性を明らかにするとともに、運動習慣化への具体的方策について検討した。動脈硬化性疾患危険因子に対しては、体力因子では全身持久力(最大酸素摂取量)が最も強く関与していたが、体力と身体活動量の相互作用を検討した結果、1日の身体活動量や労働による活動量が高い者において、全身持久力の高低が影響していることが明らかとなった。運動の習慣化には、歩数計による活動量の把握とその記録は実用性が高く、習慣化への意欲を向上させる有効な方法であり、さらに個別面談を適切に組み合わせることで、その効果は高まることを示した。
内容記述: 人文課第12号
NII JaLC DOI: info:doi/10.24795/24201k033
URI: http://usprepo.office.usp.ac.jp/dspace/handle/11355/612
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