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タイトル: チンパンジーの母子コミュニケーション -生後4ヶ月間の発達的変化-
著者: 水野, 友有
発行日: 2004/03/24
抄録: 本論文は、飼育チンパンジーを対象とし、母子コミュニケーションの初期発達を詳細に行動観察した研究をまとめたものである。全6章から構成されている。第1章では、まず、先行研究の知見をもとに、本研究が採用した比較発達心理学的アプローチの意義を述べた。さらに、本研究において対象とした霊長類種であるチンパンジーについて概説したのち、1)母親がわが子を育てるという条件下で実施し、2)出生直後から生後4ヶ月までの発達経過の詳細な縦断的観察である本 研究の主旨を述べた。第2章では、前半にチンパンジーの初期行動発達について、身体、姿勢運動、対象操作、認知の諸側面における先行研究について総説した。後半では、本研究の対象である乳児チンパンジー4個体における諸行動の初出齢の提示、および対象児の行動発達について姿勢運動と母子相互交渉の側面か ら概説した。第3章では、対象母子3組を出生直後から縦断的に夜間観察することによって得られたデータから、1)覚醒水準、2)吸乳行動、3)新生児微笑 の発達的変化を示した。チンパンジー乳児でもヒトと同様の指標を用いた覚醒水準判定が可能であり、さらにヒトと同様、不規則睡眠時に新生児微笑の生じることが明らかになった。また、吸乳行動は、生後1ヶ月では、覚醒時のみにしか生じないが、2ヶ月以降は徐々に不規則睡眠時での生起割合が増加することがわかった。第4章では、チンパンジー乳児における微笑に着目し、母子の対面場面で生じた社会的微笑の増加を新生児微笑の減少との対比で示した。生後直後から生理的な微笑(新 生児微笑)が生起し、生後11週までには観察されなくなる。一方、週齢にともなって母子交渉場面における社会的な微笑が生起し、増加してくといった、ヒトと同様な発達的変化を明らかにした。さらに、微笑を介した母子コミュニケーションにおいてヒト母子における「微笑み合う」という独自性を指摘した。第5章では、乳児の「泣き」の生起を先行事象(泣きの原因)と後続事象(母親の対処行動)との関連で分析し、泣きは生後1ヶ月間に最も多く生起し、その後、徐々に減少することがわかった。さらに、チンパンジーの母親は、子どもの泣きに対して「抱く・抱きなおす」という対処行動を示す割合が極めて高いことが明らかとなった。また、乳児の泣きは母親の対処行動を引き起こす信号として機能していることも示唆された。第6章では、以上の研究結果を踏まえて、母子コミュニケーションのホミノイド的基盤とヒトの母子コミュニケーションの特性について論じた。
内容記述: 人文課第2号
NII JaLC DOI: info:doi/10.24795/24201k004
URI: http://usprepo.office.usp.ac.jp/dspace/handle/11355/614
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