The University of Shiga Prefecture Repository >
環境科学部・環境科学研究科(School of Environmental Science/Graduate School of Environmental Science) >
博士学位論文 >

このアイテムの引用には次の識別子を使用してください: http://usprepo.office.usp.ac.jp/dspace/handle/11355/519

タイトル: 環境コミュニケーションを支援するインターネット環境情報システムの分析手法に関する基礎的研究
著者: 木村, 道徳
発行日: 2008/01/31
抄録: 本論文は,環境コミュニケーションを支援するインターネット環境情報システム(ITEIシステム)を構築し最適化するための方法論の確立を目指すものである.まず,環境コミュニケーションは基本的に,「環境情報共有」と「対話・環境情報交換」,「ソーシャルネットワーク構築」の3つのフェーズによって構成され,各フェーズが互いに関連しあいながらもそれぞれが独立した目的を持ち進行していくものである.一方,これら環境コミュニケーションの各フェーズを支援するものとしてインターネットが注目されているが,環境コミュニケーションを支援するITEIシステムの構築および改善のための方法論はいまだ確立されておらず,そもそも,環境情報共有とソーシャルネットワーク構築の両フェーズにおいては,システムの現状を把握するための分析手法がないため,総合的な評価をおこなうことが困難な状況となっている. 以上のことから本研究では,主に環境コミュニケーションの環境情報共有とソーシャルネットワーク構築の両フェーズを支援するITEIシステムの現状を把握するための分析手法の提案をおこない,これら手法の分析結果を同システムの評価および改善にフィードバックさせるためのプロセス全体の枠組の提案をおこなう. まず,環境コミュニケーションの環境情報共有フェーズにおいては,効率よく環境情報を得ることのできるITEIシステムが求められ,そのために必要となるのが環境情報ネットワーク構造の評価であり,その評価の前提条件となるのが,環境情報ネットワーク構造を分析するための手法である.本研究では,この環境情報ネットワーク構造を分析するための手法として,情報ネットワーク分析手法を提案する. また,提案する同手法の有効性を検証するために,ITEIサイトの中でも環境情報の共有において特に先駆的な事例であるPollutant Release and Transfer Register(PRTR)サイトに同手法を適用し,同サイト群によってインターネット上に形成されるPRTR情報に関する環境情報ネットワークの構造を定量的に分析することを試みた. 一方,情報を得やすい環境情報ネットワークとは,絶えず利用者の利用状況によって評価され,時間経過とともに変容すると考えられる情報ニーズに対応してネットワークの構造およびコンテンツが更新されていくことが求められるものである.そのため必要となるのが,利用者のITEIサイトに対する情報ニーズの把握と利用状況を評価することであり,これらの前提条件となるのが,利用状況を分析するための手法である.本研究では,この利用状況を分析するための手法として,利用状況分析手法を提案する. また,ITEIサイトの環境情報ネットワークの構造やコンテンツなどは,サイトの運営管理方針に大きく左右されると考えられることから,情報ネットワークおよび利用状況を評価するためには,サイトの運営管理方法の把握が求められる.本研究では,ITEIシステムの運営管理方法を把握するための手法として,運営管理方法分析手法の提案をおこなう. さらに,提案する利用状況分析手法と運営管理方法分析手法の有効性を検証するために,開設からある程度期間を経ているにもかかわらず利用状況が不明確である,環境NPOが運営管理するITEIサイトを対象に,開設時から現在に至るまでの利用状況(情報受信者の情報ニーズ)の変遷を同手法によって定量的に分析することを試みた. 次に,ソーシャルネットワーク構築フェーズにおいては,属性の異なる主体が参加するソーシャルネットワークを構築し,利用者間の交流および協働を促進するITEIシステムが求められる.そのために必要となるのがITEIシステムの利用者ネットワークが交流および協働を創出しているか否かの評価であり,その評価の前提条件となるのが,利用者ネットワークの構造と,これによる交流・協働の創出事例を把握するための分析手法である.本研究では,利用者ネットワークの構造を分析するための手法として,利用者ネットワーク分析手法の提案をおこなう.また,同システムの利用者ネットワークから創出された協働・交流事例を把握するために,協働・交流把握分析手法の提案をおこなう. さらに,提案する分析手法の有効性を検証するために,インターネット上のWebサイトでありながら,実体性のあるソーシャルネットワークづくりを目指している「びわこ市民研究所」の利用者(参加者)を対象に,同研究所への参加前後における利用者ネットワークの構造と同構造変化,利用者の活動変化を定量的に分析することを試みた. 以上の提案分析手法と対話・環境情報交換フェーズにおける既往研究で開発された分析手法を用い,ITEIシステムの分析によって得られた結果を同システムの評価および改善にフィードバックさせるためのプロセス全体の枠組みにおける調査対象は,改善の対象となる個別事例を含む複数事例と改善の対象となる事例そのものの時系列事例となる.複数事例の分析結果は,事例間で比較をおこないITEIサイトモデルと運営管理方法モデルからなるITEIシステムモデルの構築をおこなう.個別事例の時系列の分析結果からは,個別事例の変遷の把握をおこない,これをITEIシステムの運営管理方針と照らし合わせることで,運用状況の評価をおこなう.また,この評価において運用状況が悪化もしくは横這い傾向にあると判断された場合は,ITEIシステムモデルとの比較による絶対評価をおこなうことで,システムの改善の有無の判断をおこなう.さらに,システムに改善が必要であると判断された場合は,ITEIシステムモデルとの差異から改善点を明らかにし,同改善を施し,システムの運用を開始する.以上のプロセスを繰り返すことにより,ITEIシステムを最適化できると考えられる. 以上の,提案分析手法を用いたITEIシステムの評価および改善のためのプロセス全体の枠組を,本研究の結論として提案をおこなった.
内容記述: 環課第9号
NII JaLC DOI: info:doi/10.24795/24201k021
URI: http://usprepo.office.usp.ac.jp/dspace/handle/11355/519
出現コレクション:博士学位論文

このアイテムのファイル:

ファイル 記述 サイズフォーマット
24201k021_yoshi.pdf博士論文 要旨111.68 kBAdobe PDF見る/開く

このリポジトリに保管されているアイテムは、他に指定されている場合を除き、著作権により保護されています。

 

滋賀県立大学図書情報センター - ご意見をお寄せください   DSpace Softwareについて