抄録: | わが国では高齢化に伴い,骨粗鬆症が増加している.この要因の一つとして,治療継続率の低さが指摘されている.治療の中断は,骨粗鬆症を進行させ,骨折を引き起こし,高齢者の自立した生活を妨げる.そのため,治療を継続されるように骨粗鬆症指導を行うことが必要である.そこで,骨粗鬆症指導に関する研究において,明らかにされていることを整理するために文献検討を行った.文献検討の結果,複数の医療者による薬物指導や,医療者が患者の理解度を定期的に確認し指導を行うことは,服薬継続に有効であることが報告されていた.また,食習慣や食への嗜好性を把握し複数回の食事指導を行うことや,カルシウム量が多い食事の紹介,実際に調理指導を行うことが,食生活を改善することに有効であった.さらに,運動指導による骨密度の改善には,歩行を推奨するだけでなく,速歩についても指導を行う必要性が報告されていた.また,骨粗しょう症治療を必要とする高齢者に,認知症や視力障害,手指機能障害などが出現すると,家族の介助が必要となることが示唆されていた.しかしながら,骨粗鬆症患者を介護する家族に焦点を当てた研究はほとんどないことが明らかになった. |