The University of Shiga Prefecture Repository >
工学部・工学研究科(School of Engineering/Graduate School of Engineering) >
博士学位論文 >

Please use this identifier to cite or link to this item: http://usprepo.office.usp.ac.jp/dspace/handle/11355/682

Title: 化学強化用アルミノホウケイ酸塩ガラスのクラック発生率と圧縮応力層の形成への各種成分の影響
Authors: 両角, 秀勝
Issue Date: 20-Mar-2020
Abstract:  ガラス材料は高い透明性、化学的耐久性、硬度など優れた特性を多く有しているが割れやすいという欠点がある。化学強化ガラスは、ガラス表面のアルカリイオンを交換しイオン半径の違いによって圧縮応力を生じさせることで、ガラスの破懐に繋がる引張り応力に拮抗させ、強度を向上させたガラスである。化学強化は薄い肉厚でも強化が可能な数少ない技術であることから、コップからスマートフォンのカバーガラスまで多岐に渡って活用されている。  ガラス表面のクラックについても種々の研究が行われている。ガラスは完全な弾性材料であり塑性変形は生じないと考えられてきたが、圧子の圧入などの場合には塑性変形を示すことが分かってきた。先行研究では、ガラス組成や構造によってクラック発生率が異なることが報告されているが、具体的な強度との関係は示されていない。 そこで、本研究では化学強化前のガラス表面にクラックが生じ難ければ、化学強化後の ガラスの強度は安定すると考え、実際にクラックが発生し難いガラスを探索し、強度試験を実施して検証を行うことで組成を最適化することとした。  第1章では、序論としてガラス材料に関する構造、強度、強化方法に関する従来の研究を述べ、本研究でどのような課題に取り組むかを示した。  第2章では、まず、クラック発生率の低いアルミノホウケイ酸塩ガラス(ALBS、13Na2O-5K2O-7MgO-12B2O3-15Al2O3-48SiO2 (mol%))を作製し、市販の窓などに用いられるソーダライムガラス、化学強化用ガラスのアルミノケイ酸塩ガラス2種類と合わせた計4組 成についてクラック発生率が化学強化後の強度に与える影響を各種強度試険により調査 した。その結果、化学強化前のクラック発生率が低いALBSガラスは、加傷後に化学強化を行ったサンプルでの4点支持曲げ強度試験において、他のガラスと比較して強度の高い安定性を示した。よって、化学強化前にクラックが発生し難いガラスは、実際の生産工程においても埃や金属等との物理的接触に伴う表面のクラック発生が減少し、化学強化後の強度安定性が向上することが示された。  第3章では、よりクラック発生率が低いガラスの創出を目指し、クラッラック発生率の組成依存性と、その原因について調査を行った。ALBSガラス組成を基本に各5成分(Al2O3、B2O3、Na2O、K2O、or MgO)の含有量をSiO2と置換することで段階的に変更した。測定の結果、クラック発生率はポアソン比と相関を示し、その値が2.5を超えるとクラック発生率が急激に上昇することが確認された。さらに、ラマン分光法でガラスの分析を行い、Si周りの架橋酸素の密度(Q種の比)を求めた。クラック発生率はSi周辺の架橋酸素の密度が高くなるほど低下する傾向が確認された。なお、B2O3含有量を変更した系では、Q種の比が含有量に対してほとんど変化しなかったがクラック発生率は組成依存性を示した。これは、アルカリ金属イオンの含有量が多く(約18 mol%)、SiO2含有量の少ない(約50mol%)本組成系においては、ホウ素を含んだリング構造の変化がクラック発生率に大きな影響を及ぼしているためと推測された。  第4章では、イオン交換(化学強化)のし易さにB2O3が与える影響を調査した。B2O3の含有量を変更したサンプルを規格化した温度で溶融KNO3中に8時間浸漬させイオン交換をおこなった。交換後の断面を電子線マイクロアナライザーを用いた線分析で測定しK+の濃度分布を求め、相互拡散係数Dと活性化エネルギーを算出した。本組成系のガラスの活性化エネルギーはいずれの組成比も、ソーダライムシリケートガラスなどの値と比較して非常に低く、化学強化向きのアルミノシリケートガラスと同程度の値を示した。部分モル体積から算出したAl2O3の体積分率からはガラス中にAlO4を主とする高速な拡散経路が存在していると考えられた。一方でB2O3含有量の増加とともに拡散係数は低下する傾向にあり、これは拡散経路の周辺にアルカリイオンの移動を阻害する非架橋酸素などの因子が増加するためと推測された。溶融温度、イオン交換速度、および機械的性質を考慮すると、4~6 mol%の比B2O3を含むときに化学強化用ALBSガラスの組成を最適化できることが判った。  第5章では総括を述べた。本研究では化学強化ガラスにおける重要な因子として、イオ ン交換の性能以外にクラック発生率も重要であることを見出した。さらに、基本組成より もクラック発生率の低い組成の探求を行い、構造的な要因との結び付けを行った。ホウ素 の化学強化への悪影響という従来の報告とは異なり、実用的な溶融性とイオン交換性能を 両立させながら、一定量のホウ素を含有させることの有効性を示した。
Description: 工課第19号
NII JaLC DOI: info:doi/10.24795/24201k117
URI: http://usprepo.office.usp.ac.jp/dspace/handle/11355/682
Appears in Collections:博士学位論文

Files in This Item:

File Description SizeFormat
24201k117_shinsakekka.pdf博士論文 審査結果161.62 kBAdobe PDFView/Open
24201k117_yoshi.pdf博士論文 要旨82.71 kBAdobe PDFView/Open
24201k117_zenbun.pdf博士論文 全文1.87 MBAdobe PDFView/Open

Items in DSpace are protected by copyright, with all rights reserved, unless otherwise indicated.

 

University of Shiga Prefecture Library Information Center - Feedback   About DSpace Software