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タイトル: 絶食及び再摂食時の栄養動態に関する研究
著者: 守谷, 彩
発行日: 2020/03/20
抄録: 健康の維持増進のみならず生命活動の維持には,エネルギー代謝の恒常性維持が重要である.エネルギーバランスが負に傾く要因の一つとして,慢性疾患,摂食障害,ハンガーストライキ,災害などによる絶食がある.絶食が続くと,糖質,脂質,タンパク質の順に主要エネルギー源として利用される.ビタミンは絶食時の各段階および再摂食時のエネルギー産生栄養素の代謝に補酵素として作用するうえ,微量栄養素であるため枯渇しやすいという特徴をもつ.本学位請求論文では,実験動物を用いて絶食および再摂食期間中の各臓器におけるB群ビタミンの経時的変動を網羅的に解析することにより,絶食および再摂食がB群ビタミン栄養状態におよぼす影響を明らかにすることを目的とした. ラットにおける短期および長期の絶食により,ビタミンB12およびナイアシン以外の6種のB群ビタミンの血中濃度が低下すること,胃および骨格筋ではほとんどのB群ビタミン の濃度が低下するが,脳は影響を受けにくいことなど, B群ビタミンおよぴ臓器によって 異なる濃度変化を示すことを明らかにした.体内のB群ビタミン濃度が低い状態から絶食 を行っても,肝機能,脂質代謝,タンパク質代謝等の血液指標および体重減少にさらなる悪影響をおよぼすことはなかった.この結果より,B群ビタミンの積極的な摂取は絶食に よる悪影響を緩和する手段にはなり得ないことを見出した. 再摂食時のエネルギー産生栄養素の摂取盤の違いがB群ビタミン栄養状態におよぼす影響を明らかにするため,短期および長期絶食後のラットに高タンパク質食,高脂肪食,対照食を摂取させた.高タンパク質食摂取期間中にはビタミンB₆の尿中排泄量が,高脂肪食摂取期間中にはパントテン酸の尿中排泄量が抑制され,各エネルギー産生栄養素の代謝に必要なB群ビタミンの要求量が高くなる可能性を見出した.また,高タンパク質食摂取によって腎機能の低下が,高脂肪食摂取によって著しい体重回復が認められたことから,再摂食時にはエネルギー摂取が重要であり,高脂肪食が適する可能性を見出した. 本研究により,絶食および再摂食時におけるB群ビタミンの動態パターン,影響を受けやすい/受けにくい臓器を網羅的かつ詳細に明らかにした.本研究の知見は,ヒトにおける絶食および再摂食時のB群ビタミン栄養状態を解明するきっかけになるものであり,災害時などの栄養管理に繋がることが期待できる.
内容記述: 人文論第18号
NII JaLC DOI: info:doi/10.24795/24201o032
URI: http://usprepo.office.usp.ac.jp/dspace/handle/11355/582
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